ポイント1:ターゲット国の文化に合わせた「ローカライズ」の徹底
英語版Webサイトは、単に日本語を英語に直訳するだけでは不十分です。ターゲットとする国や地域の文化、慣習、価値観に合わせた「ローカライズ」が成功の鍵を握ります。
たとえば、色彩の持つ意味、デザインの好み、ユーモアの解釈、そして表現の直接性や婉曲性は国によって大きく異なります。日本語サイトで効果的だったキャッチコピーも、英語圏では誤解を招いたり、魅力が伝わらなかったりすることがあります。ターゲットとする市場のユーザーが違和感なく受け入れられるよう、ネイティブスピーカーによるチェックはもちろん、現地の市場調査に基づいたコンテンツの調整が必要です。 特に重要なのは、ターゲットユーザーが自然だと感じる言葉遣いや、信頼感を抱く情報構成にすることです。単なる言語の変換ではなく、文化的な「心」を伝えるサイト作りを意識しましょう。
ポイント2:ネイティブが「自然」と感じる高品質な翻訳の確保
Webサイトの信頼性は、翻訳の品質に大きく左右されます。機械翻訳や非ネイティブによる直訳は、不自然な言い回しや専門用語の誤訳を引き起こし、企業の信頼性を損なうリスクがあります。
ビジネス文書や技術的な内容を含むサイトでは、業界の専門知識を持つネイティブの翻訳者を起用することが不可欠です。彼らは、単語の意味だけでなく、その国で使われる最新のビジネス用語や、文脈に応じた最適な表現を選択できます。また、ターゲットがアメリカ英語圏か、イギリス英語圏かによっても単語のスペルや表現が異なるため(例: color vs colour, apartment vs flat)、統一性の確保も重要です。 サイト全体のトーン&マナーを決定し、一貫性のある、流暢でプロフェッショナルな英語で情報を発信することで、海外ユーザーに安心感と高いブランドイメージを与えることができます。
ポイント3:海外SEO対策(多言語SEO)の初期設計
海外のユーザーにサイトを見つけてもらうためには、適切なSEO(検索エンジン最適化)対策が欠かせません。日本語サイトで行っているSEO対策とは異なり、英語版サイトでは「多言語SEO」の視点が必要です。
まず、ターゲット国で実際に検索されている英語キーワードの調査と選定が重要です。日本語のキーワードを直訳するだけでなく、現地の検索意図を反映したキーワードを選びましょう。技術的な側面では、Googleなどの検索エンジンに言語と地域の関連性を正しく伝えるための「hreflang属性」の実装が必須です。これにより、異なる言語・地域向けのページを検索エンジンが認識し、ユーザーの検索言語に応じた最適なページを表示できます。 また、コンテンツの質を高め、現地からの被リンクを獲得する施策も有効です。初期段階でこのSEO設計を行うことで、公開後の集客効果を最大化できます。
ポイント4:ターゲットを意識したデザインとレイアウトの調整
デザインは視覚的な言語であり、国や地域によって受け入れられ方が異なります。英語版Webサイトを制作する際は、日本のデザインをそのまま流用するのではなく、ターゲットユーザーの好みに合わせたレイアウトとデザインを検討すべきです。
一般的に英語圏では、よりシンプルで機能的なデザインが好まれる傾向があります。また、漢字やひらがなといった日本語特有の要素がないため、テキスト量が少なく見え、逆に簡潔さが重視されます。英文は日本語に比べて文字数が長くなるため、コンテンツの配置や改行、行間にも配慮が必要です。さらに、文化的な視点から、写真素材や動画に登場する人物もターゲット国のユーザーに馴染みやすいものを選ぶことで、より親近感を与えることができます。 グローバルスタンダードに則った、明確でユーザーフレンドリーなデザイン設計を行いましょう。
ポイント5:ユーザビリティとナビゲーションのグローバル化
Webサイトの「使いやすさ」(ユーザビリティ)は、世界共通で重要な要素ですが、英語版サイトでは特にグローバルな視点での配慮が必要です。
ナビゲーション(メニュー構造)は、複雑にせず、ユーザーが目的の情報に迅速にたどり着けるよう、シンプルで直感的な設計にすることが求められます。英語圏のユーザーにとって一般的なメニュー名や構造を採用することで、戸惑いを減らせます。また、サイト内検索機能の精度を高めることも重要です。 言語切り替えの機能は、目立つ場所に分かりやすく配置し、「English」「日本語(Japanese)」のように各言語での名称を表記します。さらに、ページの読み込み速度の最適化は、特に通信環境が日本ほど整備されていない地域からのアクセスを考慮した場合、必須の対応です。世界中のユーザーにストレスなく利用してもらうための、技術的な配慮と設計が求められます。
ポイント6:適切なURL構造と属性の設定

多言語サイトのSEOを成功させるための重要な技術的ポイントが、URL構造とhreflang属性の設定です。
URL構造には、サブディレクトリ方式(例: example.com/en/)、サブドメイン方式(例: en.example.com/)、または日本語版と異なる独自ドメイン方式がありますが、一般的には管理しやすくSEO効果も期待できるサブディレクトリ方式が推奨されます。重要なのは、ターゲットとする国や地域に合わせて一貫した構造を採用することです。 さらに、属性をHTMLのheadタグやHTTPヘッダーに正確に記述することで、「このページはどの言語、どの地域を対象としたものか」を検索エンジンに明示できます。これにより、検索結果で適切な言語のページがユーザーに表示され、SEO効果の分散を防ぐことができます。この設定を怠ると、せっかく作った英語版ページが正しく評価されないリスクがあるため、専門家による厳密な設定が不可欠です。
ポイント7:海外市場のニーズに合わせたコンテンツ戦略
日本語サイトのコンテンツをそのまま翻訳するだけでは、海外市場のニーズを満たすことはできません。英語版サイトのコンテンツは、ターゲットとする国のユーザーが抱える課題や関心、購買プロセスに合わせて戦略的に作り直す必要があります。
例えば、日本では詳細な企業情報や歴史が重視される傾向がありますが、海外では製品・サービスの具体的なメリットや実績、カスタマーレビューなどが重視されることがあります。ターゲット市場における競合他社の分析や、現地のトレンドを反映させ、「なぜこのサービスが彼らに必要か」という点を明確に訴求するコンテンツを作成しましょう。 また、問い合わせフォームや購入プロセスも、現地の慣習に合わせた項目や表現に見直すことで、ユーザーの離脱を防ぎ、コンバージョン率の向上に繋がります。
ポイント8:連絡先とサポート体制のグローバル対応
英語版Webサイトは、海外ユーザーとの最初の接点となるため、スムーズなコミュニケーションを可能にするためのグローバルなサポート体制の明記が重要です。
お問い合わせフォームや連絡先情報は、国際的な利用を想定した形式にする必要があります。特に、電話番号は国際的な表記(国コードから記載)にし、メールでの問い合わせには英語での迅速な対応体制が整っていることを明記しましょう。 また、時差を考慮し、問い合わせへの返答にかかる目安時間を記載したり、「よくある質問 (FAQ)」ページを充実させることで、ユーザーの自己解決を促すことができます。ターゲット国の営業拠点や代理店がある場合は、その情報を分かりやすく掲載することで、ユーザーに安心感を与え、取引の信頼性を高めることができます。サポート体制の明文化は、企業の信頼性を高める重要な要素です。
ポイント9:プライバシーポリシーと法規制への準拠
Webサイトをグローバルに展開する上で、各国の法規制、特に個人情報保護に関する規制への準拠は絶対に避けて通れません。
例えば、欧州連合(EU)のGDPR(一般データ保護規則)や、カリフォルニア州のCCPAなど、個人情報の収集・利用に関する規制は非常に厳格です。英語版サイトでは、これらの規制に準拠したプライバシーポリシーを明記し、Cookieの利用に関する同意バナーを設置するなど、適切な対応が求められます。 これらの法規制を無視した場合、高額な罰金や信用の失墜に繋がるリスクがあります。そのため、サイト公開前にターゲット国の法規制に詳しい専門家(弁護士など)のチェックを受け、ポリシーや利用規約を正確に翻訳し、必要な対応を実装することが、企業のコンプライアンス維持に不可欠です。
ポイント10:継続的な運用・更新体制と効果測定
英語版Webサイトは、公開がゴールではなく、継続的な運用と改善が不可欠です。サイトを放置すると、情報が古くなり、現地のユーザーの信頼を失ってしまいます。
運用体制として、コンテンツの更新や技術的なメンテナンスを定期的に行う担当者を明確にしましょう。特に、製品やサービスに関する最新情報は、日本語サイトと同時に英語版サイトにも反映されるようなフローを構築することが重要です。 また、Google Analyticsなどのツールを使用して、ターゲット国からのアクセス数、ユーザーの行動、コンバージョン率などの効果を定期的に測定します。得られたデータから、どのコンテンツが海外ユーザーに響いているのか、どこで離脱しているのかを分析し、コンテンツの改善やSEO戦略の見直しに活かします。PDCAサイクルを回すことで、英語版サイトを海外ビジネス成長のための強力なツールへと育てていきましょう。
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